プレゼント企画の応募規約に何を書けばいいか迷いながら、ノートパソコンの前で手を止めている企業SNS担当者の情景

SNSキャンペーンの応募規約と景表法|炎上しない企画の決め方

「フォロワーを増やしたいから、プレゼント企画やってみよう」

会議でそう決まって、告知の文章はなんとか書けた。画像も用意した。 でも、投稿ボタンの前で手が止まる。

——応募規約って、何を書けばいいんだろう。 ——この賞品、金額の上限とかあるんだろうか。 ——当選連絡はDMでいいのかな。

調べてみると「景品表示法」「一般懸賞」「取引価額」といった言葉が出てきて、読んでも自分の企画がどれに当てはまるのか分からない。かといって、法務に聞くほどの規模でもない気がして、誰にも相談できないまま夜になる。

その手が止まる感じ、とてもよく分かります。 キャンペーンは「盛り上げる仕事」に見えて、実は決めごとがいちばん多い仕事です。しかも間違えると、後から直すのが難しい。慎重になるのは、担当者として正しい反応です。

大丈夫です。順番に整理すれば、確認すべきことはそれほど多くありません。

結論:キャンペーンの規約まわりは、次の4つを上から順に決めれば形になります。
応募に「購入」が必要かどうかをはっきりさせる(ここで適用されるルールが変わります)
② 購入が条件なら、景品の金額の目安を確認する
応募規約に入れる項目を埋める(この記事にひな形を置きました)
各SNSのキャンペーンに関するガイドラインを、出す前に一度開く
この記事では、この4つを順番に、実際の書きぶりまで含めて一緒に埋めていきます。
なお、本記事は一般的な実務情報です。景品表示法の運用や各SNSのガイドラインは変わることがあります。金額が大きい企画や判断に迷う企画では、消費者庁の景品表示法のページなどの一次情報と、社内の広報・法務の確認をあわせてお願いします。

何が起きているか:企画そのものより「条件の書き方」でつまずく

キャンペーンで後からもめるのは、賞品の中身ではありません。ほとんどが条件の書き方です。

どれも、悪意があって起きることではありません。書かれていなかったから、お互いに違う前提で動いただけです。

だから応募規約は、応募者を縛るための文章ではありません。お互いが同じ前提に立つためのメモです。そう考えると、少し書きやすくなると思います。

手順1:応募に「購入」が必要かどうかを、まず分ける

ここが最初の分かれ道で、いちばん大事なところです。

景品表示法(景表法)は、事業者が景品類を出すときのルールを定めた法律です。ここでいう景品類にあたるかどうかは、ざっくり言えば「その景品が、取引(購入や来店)とセットになっているか」で変わります。

応募条件が購入なしの場合と購入ありの場合で、確認する内容が分かれることを示した図
最初の分かれ道は「応募に購入が要るか」。購入なしなら景品額の上限規制の対象外、購入ありなら金額の目安を確認する。

「購入なし」で応募できる企画(オープン懸賞)

アカウントをフォローする、対象の投稿をリポスト(リツイート)する、指定のハッシュタグを付けて投稿する——買い物をしなくても応募できるタイプです。一般に「オープン懸賞」と呼ばれます。

この形は、取引とセットになっていないため、景表法の景品額の上限規制の対象外とされています。SNSのプレゼント企画の多くはこちらに当てはまります。

ただし「上限がない=何をしてもいい」ではありません。応募規約の整備、ステマ規制、個人情報の扱い、各SNSのガイドラインは、購入の有無に関係なくついてきます。手順3以降は、購入なしの企画でも必要です。

「購入あり」が条件の企画(一般懸賞)

「対象商品を買ってレシートの写真を送る」「店舗に来て応募用紙を出す」——取引が応募の条件になっているタイプです。抽選で当たる形なら「一般懸賞」にあたります。

こちらは景品の金額に目安の定めがあるので、手順2で確認します。

迷いやすい境目

境目にある企画は、購入しなくても応募できる道を残すと、考えることがぐっと減ります。フォロワーを増やしたいだけなら、無理に購入を条件にしない設計のほうが、担当者としても気が楽です。

手順2:購入が条件なら、景品の金額を確認する

「購入あり」の企画では、景品の金額に目安があります。基準になるのは取引価額(応募の条件になる商品・サービスの価格)です。

抽選で当たる企画(一般懸賞)の目安

取引価額景品の最高額の目安景品の総額の目安
5,000円未満取引価額の 20倍 まで懸賞に関わる売上予定総額の2%まで
5,000円以上10万円 まで同上

計算してみると、感覚がつかめます。

例)1,200円の商品を買った方の中から抽選する場合
1,200円 × 20 = 24,000円まで

例)8,000円のコースを申し込んだ方の中から抽選する場合
取引価額が5,000円以上なので、10万円まで

買った人全員にもれなく渡す企画(総付景品)の目安

取引価額景品の最高額の目安
1,000円未満200円 まで
1,000円以上取引価額の 10分の2 まで
例)3,000円の商品を買った方全員にノベルティを渡す場合
3,000円 × 0.2 = 600円まで

SNSのプレゼント企画で、この上限に引っかかるケースはそれほど多くありません。ただし高額な家電や旅行券を賞品にするときや、購入を条件にするときは、投稿前に一度この表に当てはめてみてください。

なお、複数の事業者が共同で行う懸賞(商店街の合同企画など)は別の基準になります。該当しそうなときは、消費者庁の一次情報で確認するのが確実です。

手順3:応募規約に入れる項目(コピーして使えるひな形)

ここが実務のいちばん重い部分ですが、項目さえ埋めれば形になります

投稿本文に全部を書くのは無理があるので、自社サイトに「キャンペーン応募規約」のページを1枚作り、投稿からリンクする形が扱いやすいです。一度作れば、次回からは日付と賞品を差し替えるだけになります。

■ ○○キャンペーン 応募規約

【主催】株式会社○○

【応募期間】
2026年○月○日(○)10:00 〜 2026年○月○日(○)23:59(日本時間)

【応募方法】
① 当社公式アカウント(@○○)をフォロー
② 対象の投稿をリポスト
※応募完了の通知は行いません。

【応募資格】
・日本国内にお住まいの方
・賞品のお届け先を日本国内でご指定いただける方
・アカウントを公開設定にしている方
・未成年の方は保護者の同意を得たうえでご応募ください

【賞品】
○○ ○名様

【抽選・当選のご連絡】
・応募期間終了後、厳正な抽選のうえ決定します。
・当選された方には、当社公式アカウント(@○○)から
  ダイレクトメッセージでご連絡します。
・ご連絡から○日以内にご返信がない場合は、
  当選を辞退されたものとして取り扱う場合があります。
・当社から、クレジットカード情報や口座情報をお伺いすることは
  一切ありません。また、外部サイトへの誘導も行いません。

【お客様情報の取り扱い】
賞品の発送のためにご住所・お名前等をお伺いします。
取得した情報は賞品発送の目的のみに利用し、
当社プライバシーポリシー(URL)に従って取り扱います。

【賞品の発送】
当選のご連絡から約○週間以内に発送予定です。
※発送時期は変更になる場合があります。

【ご注意】
・当選の権利を第三者へ譲渡・換金することはできません。
・以下の場合、応募・当選を無効とさせていただくことがあります。
  - 応募期間の終了後にフォローを解除された場合
  - アカウントが非公開設定で、ご連絡が取れない場合
  - 同一の方による複数アカウントからのご応募と判断した場合
・通信環境やシステムの不具合により応募が受け付けられない場合、
  当社は責任を負いかねます。
・本キャンペーンは株式会社○○が主催するものであり、
  ○○(SNS名)が主催・後援・運営するものではありません。
・やむを得ない事情により、キャンペーンの内容変更・中止を
  行う場合があります。

【お問い合わせ】
○○@example.com(受付時間:平日10:00〜17:00)

このひな形の中で、とくに書き忘れやすい5つを挙げておきます。

  1. 終了日時に「時刻」まで書く:「31日まで」だけだと、深夜0時をまたいだ応募の扱いでもめます。
  2. 当選連絡の方法と、返信の期限:期限を書いておかないと、いつまでも当選者が確定しません。
  3. 「カード情報や口座情報は聞きません」の一文:企業アカウントを装った偽の当選DMが送られる事例があります。この一文があるだけで、当選者が本物か見分けやすくなります。
  4. SNSが主催ではない旨:プラットフォームによってはガイドラインで求めています(手順4)。
  5. お問い合わせ先:ここがないと、全部の質問がリプライ欄に来ます。

手順4:各SNSのガイドラインを、出す前に一度開く

法律とは別に、プラットフォームごとのルールがあります。ここは変更が多いので、この記事の内容を覚えるのではなく、企画のたびに公式ヘルプを開くのが確実です。

見ておきたいのは、だいたいこのあたりです。

一次情報は、各SNSのヘルプセンター内の「プロモーション」「キャンペーン」「コンテスト」といったページにあります。ブックマークして、企画のたびに開くのがおすすめです。

手順5:ステマ規制と、当選者への「お願い」

もうひとつ、キャンペーンと相性の悪いポイントがあります。当選者に投稿をお願いするときです。

2023年10月から、広告なのに広告だと分からない表示(ステルスマーケティング)は景品表示法違反とされています。

やってしまいがちなのが、当選条件に感想投稿を含める形です(「投稿していただける方限定」など)。この場合、投稿は明確に依頼にもとづくものになります。お願いすること自体が悪いわけではなく、依頼したなら、それが分かるように表示する——それだけです。

表記の具体的な書き方は、企業SNSのPR表記ルールで整理しています。

もうひとつ、当選者から集めた投稿を自社アカウントで紹介したくなったときは、改めて使用の許可を取るのが安全です。応募したことと、自社の宣伝に使われることは別の話だからです。この線引きはUGCの集め方と使う許可の取り方にまとめています。

手順6:当選連絡と個人情報の受け渡し

賞品を送るには、住所とお名前をいただく必要があります。ここは丁寧に扱いたいところです。

写真や画面のやりとりが増える企画では、個人情報の写り込みチェックもあわせてどうぞ。

なお、賞品が高額な場合は、当選者側で一時所得として確定申告が必要になることがあります(一時所得には年間の特別控除枠があります)。数万円規模の企画で気にしすぎる必要はありませんが、高額な賞品を用意するときは「税務の取り扱いについてはご自身でご確認ください」と規約に一文添えておくと、後の問い合わせが減ります。詳しい基準は国税庁の情報でご確認ください。

あなたへの影響

明日やること

  1. いま検討している企画が「購入なし」か「購入あり」かを、一行でメモする。ここが決まると、残りの判断がすべて楽になります。
  2. 使っているSNSのヘルプで、キャンペーン/プロモーションのページを1つ開いてブックマークする。5分で終わります。
  3. この記事のひな形をコピーして、自社の名前と期間だけ埋めてみる。空欄が残ったところが、まだ決まっていない論点です。
  4. 当選連絡の文面を1本、先に書いておく。「カード情報は聞きません」の一文を必ず入れて。
  5. 高額な賞品や購入条件つきの企画なら、手順2の表に当てはめてから、社内の広報・法務に一声かける。

全部を明日やらなくて大丈夫です。1番だけでも、企画の輪郭がはっきりします。

応募規約を書き終えて、穏やかな表情でキャンペーンの投稿を送信しようとしている企業SNS担当者の情景

規約を書く時間は、盛り上げる仕事ではないので、正直あまり楽しくないかもしれません。 でもこれは、応募してくれた方をがっかりさせないための準備です。当選者に賞品がきちんと届いて、「応募してよかった」と思ってもらえるところまでが、キャンペーンです。

投稿ボタンの前で手を止めて、ここまで確認しようとしている。その慎重さは、企画を成功させる力そのものです。ひとつずつ埋めていけば大丈夫です。

チェックリスト(保存用・キャンペーンを出す前に)

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