深夜のオフィスでスマートフォンのショート動画の分析画面を見ながら、再生数は出ているのに反応が少ない理由を静かに考えている企業SNS担当者の情景

リール・ショート動画の視聴維持率の見方|離脱ポイントの直し方

「再生数、けっこう回ってるのにな」。

分析画面を開いて、そう思ったことはありませんか。再生数は数千。でも、いいねは10件、保存は2件、フォローはゼロ。数字は動いているのに、手ごたえだけがない。あの感じ、なんとも言えず落ち着かないですよね。

そのモヤモヤの正体は、たいてい「最後まで見てもらえていない」ことにあります。そして、それを教えてくれるのが視聴維持率という数字です。

ただ、分析画面を開くと折れ線グラフやら%やらが並んでいて、「で、これをどう読めばいいの?」で手が止まる。わかります。私も最初はそうでした。今日は、グラフの見るところを3か所だけに絞って、次の1本で直すところを1つ決めるところまで、一緒に整理していきます。全部を分析しなくて大丈夫です。

結論:ショート動画の分析は、次の3つだけで足ります。
平均視聴時間の「%」ではなく、グラフの「落ち方」を見る(どこで離れたかが原因のヒント)
見るのは3か所だけ(最初の2秒/中盤/終わりぎわ)
1本につき直すのは1か所だけ(全部直すと、何が効いたか分からなくなる)
よその平均値と比べる必要はありません。比べる相手は、自分の過去の投稿で十分です。

視聴維持率って、そもそも何の数字?

視聴維持率とは、ざっくり言うと「動画のどのあたりまで、どれくらいの人が見てくれたか」を割合で表した数字です。動画の再生位置を横軸、残っている視聴者の割合を縦軸にした折れ線グラフで表示されることが多く、右へ行くほど(=動画が進むほど)だんだん下がっていきます。

主要なプラットフォームでは、おおむね次のあたりから確認できます。

メニュー名や項目の場所は、アプリのアップデートでけっこう変わります。見当たらないときは、各SNSの公式ヘルプで最新の名称を確認してみてください。「昔と場所が違う」は、あなたの見落としではなく、単に仕様が変わっただけのことが多いです。

そして、いちばん大事なところ。この数字は「良い・悪い」の通知表ではありません。「読者がどこで興味を失ったか」を教えてくれる地図です。責められるための数字ではなく、次の1本を軽くするための数字。そう思って見ると、少し気が楽になります。

見るのは3か所だけ|維持率グラフの読み方

グラフ全体をじっと睨んでも、たいてい何も見えてきません。見るのは次の3か所だけで十分です。

ショート動画の視聴維持率の折れ線グラフで、冒頭・中盤・終わりの3か所を見ればよいことを示した図解
見るのはこの3か所だけ。左端の落ち方、真ん中の傾き、右端の残り具合の順に確認する。

① 最初の2秒:いちばん最初の落ち方

グラフの左端は、どんな動画でもストンと下がります。これは自然なことなので、下がっていること自体を気にしなくて大丈夫です。

見たいのは「どれくらい急に落ちたか」。ここが崖のように垂直に落ちていたら、動画の中身に入る前に離れられている、ということです。中身の問題ではなく、入り口の問題です。

② 中盤:傾きが変わったところ

真ん中あたりで、線の下がり方が急になっている場所はありませんか。そこが話が長く感じられたポイントです。

説明が回りくどい、間が空いている、テロップが読み終わる前に切り替わる——理由はいろいろですが、「その瞬間に何を映していたか」を実際に見返すと、だいたい思い当たります。

③ 終わりぎわ:どれくらい残ったか

右端まで線が残っていれば、最後まで見てもらえたということ。ここが厚いほど、次の投稿も届きやすくなる傾向があります。

ちなみに、ショート動画は自動でループ再生されるため、プラットフォームによっては維持率が100%を超えて表示されることもあります。バグではなく、「もう一度見てくれた人がいる」というサインです。見つけたら、素直に喜んでいい数字です。

よくある3つの落ち方と、明日できる直し方

グラフの形は、だいたい次の3パターンに分かれます。自分の動画がどれに近いか、当てはめてみてください。

パターンA|最初の2秒で崖のように落ちる

起きていること:冒頭で「自分に関係ない」と判断されています。

ありがちな原因:ロゴやタイトル画面から始まっている/「こんにちは、〇〇です」の挨拶から入っている/1枚目の画面が暗い・何を映しているか分かりにくい。

明日の一手冒頭の1〜2秒を、いちばん見せたい場面に差し替える。挨拶やロゴは、後ろに回すか、いっそ削ってしまって大丈夫です。「結論やクライマックスを先に出す」だけで、この崖はゆるやかになることがあります。

冒頭の作り方はInstagramリールが伸びる構成|最初の1秒とテロップの作り方にもう少し詳しく書いています。

パターンB|中盤でガクッと段差ができる

起きていること:その地点で「もういいかな」と思われています。

ありがちな原因:説明が長い/同じ画面が続いている/BGMだけの間がある/情報を詰め込みすぎて追いつけない。

明日の一手段差の直前と直後の数秒を、実際に見返す。そして、その部分を丸ごと1つカットしてみる。ショート動画は、削ったほうが伝わることのほうが多いです。「1本1テーマ」に絞って、入りきらない話は次の投稿に回しましょう。

パターンC|全体になだらかに下がって、最後が薄い

起きていること:大きな脱落点はないけれど、最後まで見る理由がなかった状態です。

ありがちな原因:終わり方が唐突/落ちや答えがない/「で、結局どうすれば?」が残っている。

明日の一手締めに一言だけ足す。「最後に、いちばん大事なことをひとつ」「答えは最後に出します」のような、先に予告しておく一言を冒頭に置くのも効きます。ただし、煽って引っ張るのはおすすめしません。期待させて中身が伴わないと、次から見てもらえなくなります。

「何%あればいい」の目安と、どう付き合うか

ここ、いちばん聞かれるところだと思います。正直にお伝えすると、「〇%以上ならOK」という共通の正解はありません

理由はシンプルで、維持率は動画の長さ・ジャンル・アカウントの性質でまったく変わるからです。15秒の動画と60秒の動画では、同じ%でも意味が違います。ネットに出回っている平均値も、調査の対象や時期がバラバラなので、そのまま自社に当てはめると、かえって落ち込むだけになりがちです。

なので、比べる相手は自分の過去の投稿にしましょう。

  1. 直近10本くらいの動画を並べる
  2. それぞれの平均視聴時間(または維持率)をメモする
  3. 上位2本と下位2本を選ぶ
  4. その4本の冒頭2秒だけを見比べる

これだけで、「うちのアカウントで効く冒頭」がかなり見えてきます。よその平均より、自分の勝ちパターンのほうがずっと役に立ちます。

数字を並べて比べるのが面倒なときは、記録の型を先に作ってしまうのがおすすめです。企業SNS投稿の振り返り|伸びた・伸びない理由を次に活かす手順に、週15分でできる振り返りの手順をまとめています。

あなたへの影響

明日やること(3つだけ)

  1. 直近で再生数がいちばん多かった動画を1本開いて、維持率のグラフを見る(3分)
  2. グラフがいちばん落ちている場所をメモして、その瞬間の映像を実際に見返す(5分)
  3. 次の1本で直すところを、1つだけ決める(冒頭/中盤/締めのどれか1つ)

今日はここまでで十分です。全部の動画を分析しなくて大丈夫。1本見るだけで、次の1本は少し変わります。

チェックリスト

分析画面を開いたときに、さっと確認できるようにまとめました。運用メモにコピーして使ってください。

まずここから

慣れてきたら足す

数字を見た日は、それだけで前に進んでいます

視聴維持率は、うまくいかなかった理由を突きつけてくる数字に見えるかもしれません。でも実際は逆で、「次はここを直せばいいよ」と教えてくれる、いちばん親切な数字です。

再生数だけを見ていた頃は、伸びなかった理由が分からないまま次を撮るしかありませんでした。グラフを見るようになると、少なくとも「どこで離れたか」は分かる。それだけで、次の1本の撮り方に自信が持てるようになります。

ショート動画は、当たりはずれの波が大きい世界です。1本ダメでも、あなたの企画力の問題ではありません。冒頭2秒がたまたま合わなかっただけ、ということが本当によくあります。

分析画面を開いて、グラフを見て、ここまで読んだ。それはもう、次の1本を良くする作業が始まっているということです。焦らず、1本につき1か所ずつでいきましょう。

ショート動画の改善点が1つに絞れて、次の撮影に向けて気持ちが軽くなった企業SNS担当者の情景
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