値上げのお知らせ投稿の文面を書いては消しを繰り返し、送信ボタンの前で手を止めている企業SNS担当者の情景

企業SNSのお知らせ投稿の書き方|休業・値上げを角が立たなく伝える

「来月から価格を改定するので、SNSでも告知しておいて」

そう言われて、書き始めて、消して、また書き始める。

「このたび」で始めてみたけれど硬すぎる気がする。かといって普段のトーンで書くと軽く見える。理由を書きすぎると言い訳っぽい。書かないと不親切。——気づいたら30分たっていて、まだ1行目が決まっていない。

お知らせの投稿は、いつもの投稿とまったく別の種類の仕事です。普段は「読んでもらう」ために書きますが、お知らせは「誤解されない」ために書くからです。求められているものが違うので、いつもの書き方の勘が効きません。

そして、ここでいちばん気が重いのが、投稿したあとに何を言われるか分からないところだと思います。値上げのお知らせに、感謝のコメントは基本つきません。無反応か、厳しい言葉か。それが分かっているものを、自分の手で送信する。これはけっこうしんどい仕事です。

でも、大丈夫です。角が立つかどうかは、言葉の上手さではほとんど決まりません。決まるのは「書く順番」と「書かないこと」のほうです。今日はそこを整理して、明日そのまま使える文例まで持って帰ってもらいます。

結論:お知らせ投稿は、この4つをこの順番で書きます。
何が変わるか(結論を1行目に。もったいぶらない)
いつから(日付を明記する)
なぜ(理由は短く、事実だけ。言い訳にしない)
お願い・お詫び(相手にしてほしいことを最後に)

順番を入れ替えないでください。理由から書き始めた瞬間に、言い訳の文章になります。
そして、いちばん大事なのは書かないことを決めるほうです。過度なお詫び・煽り・他責。この3つを外すだけで、文面はぐっと落ち着きます。

何が起きているか:「丁寧に書こう」とするほど、角が立つ

お知らせを書くとき、私たちはたいてい丁寧に書こうとします。相手に不便をかけるのだから、当然です。

ところが、この「丁寧に書こう」が、文面を長くします。

前置きを足す。背景を説明する。お詫びを重ねる。「なにとぞご理解を」を入れる。結果、本題である「何が、いつから変わるのか」が、文章のまん中あたりに埋もれます。

読む側からすると、これがいちばん困ります。

SNSのお知らせを見る人は、たいてい知りたいことが1つだけあります。「今週の土曜、開いてる?」「うちの契約はいくらになるの?」。その答えが最初の2行に無いと、読み進めるうちに「で、結局どうなるの」という気持ちになります。この気持ちが、そのままコメントの語気になります。

つまり、角が立つ原因は冷たい文面ではなく、答えが見つからない文面のほうにあることが多いのです。

もうひとつ、知っておくと少し楽になることがあります。

お知らせ投稿は、拡散を狙う投稿ではありません。 いいねが少なくても、それは失敗ではありません。この投稿の成功は、「聞かれなくて済んだこと」で測ります。DMでの問い合わせが来なかった、当日に来店して閉まっていた人がいなかった、レジで「聞いてない」と言われなかった。表に出ない成果なので、誰にも褒められないのが少し切ないところですが、確実に効いています。

型:4つの順番と、その理由

お知らせ投稿を「何が」「いつから」「なぜ」「お願い」の順番で書くことを示した図
順番はこの4つ。理由から書き始めると言い訳の文章になるので、結論を先に置きます。

① 何が変わるか(1行目)

1行目に結論を置きます。「お知らせです」ではなく、中身を書きます。

SNSはタイムラインで流れていくので、1行目しか読まれない前提で作ります。1行目だけ読んで用が足りるなら、それが親切な投稿です。

② いつから(日付を明記)

「来月から」「近日中に」は使いません。日付で書きます。

「来月から」は、投稿が数日後に見られたときに意味が変わってしまいます。過去の投稿として掘り起こされたときも同じです。日付が書いてあれば、誤解は起きません。

曜日も添えると親切です。「8月13日(木)」のように。

③ なぜ(短く、事実だけ)

ここがいちばん迷うところだと思います。書くべきか、書かないべきか。

目安はこうです。

そして、書くときは1〜2文で止めます。 長く書くほど言い訳に近づきます。

短いほうが、かえって誠実に見えます。長い説明は「分かってほしい」という気持ちの表れですが、読む側は説明を求めていないことが多いのです。

なお、理由を書くときは事実として確認できることだけにしてください。「業界全体で」「他社さんも」といった書き方は、根拠を聞かれると答えられません。自社の事情として書けば、それで十分です。

④ お願い・お詫び(最後に、1回だけ)

最後に、相手にしてほしいことを書きます。「ご来店前に営業日をご確認ください」「ご不明な点はDMでお問い合わせください」のように、具体的な行動で。

お詫びは、1回だけにします。

「ご迷惑をおかけいたします」を冒頭・中盤・末尾に3回入れると、丁寧というより落ち着かない文章になります。1回、いちばん効く場所(末尾)に置けば伝わります。

そして、休業やイベント告知にはお詫びは不要です。休むことは悪いことではありません。「お休みをいただきます。よい連休をお過ごしください」で十分です。

文例:そのまま使える3パターン

ここからは、コピーして自社の情報に差し替えれば使える形で置いておきます。文体は自社のトーンに寄せて調整してください。 普段くだけたトーンで運用しているアカウントが、お知らせだけ急に硬くなると、それはそれで距離を感じさせます。トーンの決め方は投稿のトーン&マナーガイドの作り方にまとめています。

パターン1:休業のお知らせ

【夏季休業のお知らせ】

8月13日(木)〜16日(日)は休業いたします。
営業再開は8月17日(月)10時からです。

休業中にいただいたお問い合わせへのご返信は、
17日以降、順番にご対応いたします。

ご来店を予定されていた方は、日程をご確認ください。
よい連休をお過ごしください。

ポイント

パターン2:価格改定(値上げ)のお知らせ

【価格改定のお知らせ】

9月1日(月)より、一部商品の価格を改定いたします。

対象商品と改定後の価格はこちらでご確認いただけます。
(リンク)

原材料と物流費の上昇分を、価格に反映させていただくものです。
これまでどおりの品質でお届けできるよう努めてまいります。

ご負担をおかけしますが、引き続きよろしくお願いいたします。

ポイント

パターン3:仕様変更・サービス内容の変更

【送料の改定について】

10月1日(水)のご注文分より、送料を改定いたします。

・全国一律 500円 → 700円
・8,000円以上のご購入で送料無料(変更ありません)

配送料金の改定にともなうものです。
9月30日(火)までのご注文は、現在の送料が適用されます。

ご不明な点は、DMまたはお問い合わせフォームからご連絡ください。

ポイント

つまずきやすい書き方

責める話ではなく、知っていれば避けられるという話として読んでください。どれも、丁寧にやろうとした結果として起きるものです。

「諸般の事情により」

いちばん使いたくなる言葉ですが、読む側には何も伝わりません。 事情を説明できないときは、無理に理由の欄を埋めず、理由を書かずに事実だけ伝えるほうがすっきりします。書けないことを、書けているように見せる言葉は使わないほうが安全です。

他責に読める書き方

「配送業者の都合により」「メーカーの決定により」。事実であっても、責任の所在を外に置いた書き方は、冷たく読まれます。 自社の判断として書いてください。「配送料金の改定にともない、当店でも送料を見直しました」のように。

煽りを混ぜてしまう

「今のうちに」「駆け込みで」。売上を作りたい気持ちは分かりますし、社内から言われることもあると思います。ただ、お知らせ投稿に煽りが混ざると、値上げそのものが疑われます。 販促は日を分けて、別の投稿でやってください。

画像だけで告知する

きれいな告知画像を1枚だけ貼って、本文は「詳細は画像をご覧ください」。よくある形ですが、これには弱点があります。画像の中の文字は検索に引っかからず、読み上げ環境でも読めません。 画像を使うのは構いませんが、本文にも同じ内容をテキストで書いてください。 代替テキスト(alt)も入れておくと親切です。

複数SNSでバラバラの内容になる

XとInstagramで日付が違う、片方だけ更新して片方が古いまま。これは掘り起こされると厄介です。先に本文を1つ決めてから、各媒体の形に合わせて短くする。 順番を逆にしないのがコツです。使い回しの手順は複数SNSの「使い回し」と「作り分け」が参考になります。

投稿する場所とタイミング

文面ができたら、次は出し方です。ここも少し工夫できます。

タイミングの目安

お知らせの種類最初の告知追加の告知
休業(連休・年末年始)2〜3週間前前日または当日の朝
価格改定1か月前切り替え直前(1週間前)
仕様変更・規約変更1か月前切り替え日の当日
臨時休業・急な変更分かった時点ですぐ

同じ内容を2回出すのは、しつこくありません。 1回目を見ていない人のほうが多いからです。2回目は文面を少し短くして、「明日から」のように直前の情報に変えると自然です。

置き場所も決めておく

投稿は流れていくので、流れない場所にも置いておくと問い合わせが減ります。

固定投稿は、外すのを忘れやすいところです。休業が明けたら外す、とカレンダーに一緒に入れておくと安心です。

投稿したあとの備え

お知らせ投稿でいちばん気が重いのは、送信ボタンよりそのあとかもしれません。ここも、先に決めておけば楽になります。

コメントは、来ると想定しておく

値上げの告知に厳しい言葉がつくことは、あります。それは担当者の書き方が悪かったからではなく、負担が増える人がいるからです。ここを分けて考えられると、少し気持ちが守れます。

返信の方針を、投稿前に決めておく

投稿してから考えると、その場の感情で判断することになります。先にこう決めておきます。

判断の詳しい基準はネガティブコメントへの対応と「スルー」の基準コメント・DM対応の運用ルールに整理しています。

間違えたときは、訂正の投稿を出す

日付や金額を間違えたら、こっそり編集するのではなく、訂正として1本出すほうが結果的に安全です。書き方はお詫び・謝罪文の書き方が使えます。

社内に、投稿したことを伝えておく

意外とこれが効きます。店頭や電話にも同じ問い合わせが来るからです。「SNSでこう告知しました」と一言共有しておくと、現場が同じ答えを返せます。

あなたへの影響

明日やること

  1. 直近で控えているお知らせを1つ書き出す。 休業でも改定でも、まだ先の予定で構いません。
  2. 「何が/いつから/なぜ/お願い」の4行だけ、箇条書きで埋める。 文章にしなくて大丈夫です。まず中身を決めます。
  3. 1行目を、そのまま結論の文にする。 「お知らせです」で始まっていたら書き直します。
  4. 理由を1文に削る。 2文以上あるなら、どれか消せないか見てみてください。
  5. お詫びの数を数える。 2回以上あれば、1回に減らします。
  6. 数字と日付を、原本と突き合わせる。 ここだけは、必ず2回見てください。
  7. 投稿前チェックリストを通す。 企業SNS投稿前セルフチェックリストにまとめてあります。

全部を明日やらなくて大丈夫です。2番の4行を埋めるだけで、あとは形になります。

お知らせ投稿を無事に送信し、肩の力が抜けて穏やかな表情を見せている企業SNS担当者の明るい情景

お知らせの投稿は、誰にも褒められない仕事です。

うまく書けても「ちゃんと伝わったな」と思うだけで、いいねは伸びません。むしろ、値上げの告知に厳しい言葉がついた日は、自分の書き方が悪かったんじゃないかと、帰り道でもう一度読み返してしまうかもしれません。

でも、その投稿があったから、当日に閉まった店の前で立ち尽くす人がいなかった。レジで「聞いてない」と言われずに済んだ。起きなかったことは数えられないので、誰にも見えないだけです。

言葉を何度も選び直したのは、相手にちゃんと届けたかったからですよね。その手間のかけ方は、文面のどこかにちゃんと残ります。 短くて、日付が正確で、言い訳のない文章は、読む人に「この会社は真面目だな」と伝わります。派手ではないけれど、信頼はそういうところに積もっていきます。

覚えることは4つだけです。何が・いつから・なぜ・お願い。 次にお知らせを頼まれたら、この4行から始めれば大丈夫です。

チェックリスト(保存用・お知らせ投稿を出す前に)

本記事は一般的な実務の整理です。価格表示や広告表現の適否は、内容や表示のしかたによって判断が変わります。景品表示法など関係法令の考え方は消費者庁の最新の公表資料をご確認のうえ、最終的な判断は自社の広報・法務方針にしたがってください。各SNSの仕様・規約も変わりますので、あわせて公式情報をご確認ください。

よければ、こちらも

お知らせを書き終えたら、いつもの運用に戻る前に数字も少しだけ。→ エンゲージメント率 計算機。企業SNS運用の実務ヒントは、メールでもお届けしています。よかったら受け取ってみてください。

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