
展示会・イベント出展のSNS実況|前日・当日・事後の段取り
「展示会に出るから、SNSでも発信しておいて」。
そう言われて当日を迎えて、気づいたら夕方。ブース対応と名刺交換で手いっぱいで、撮った写真はスマホの中に数枚だけ——。
これは、段取りが足りなかったのではなく、当日にやることとして持ち込んだから起きます。展示会の実況は、当日の気合いではなく、前日までの準備でほとんど決まります。
結論:展示会・イベントの実況は、次の3つに分けて考えると回ります。
① 前日まで——投稿の「型」を3つ作り、写真に撮っていいもの/いけないものを確認しておく。ここで8割終わらせる。
② 当日——新しく考えない。撮る時間を先にブロックし、型に写真を差し込むだけ。投稿は1日2〜3本で十分。
③ 事後——3日以内に、まとめ投稿を1本。ここが実は、いちばん見られます。
完璧な実況をしなくて大丈夫です。「来ていることが分かる1本」と「終わったあとの1本」があれば、役割は果たせています。
何が起きているのか——当日は、思っているより投稿できない
展示会でSNSがうまく回らないとき、原因はだいたいこの3つです。担当者の準備不足ではなく、構造の問題であることがほとんどです。
- 当日の自分は、SNS担当ではなくブース要員になっている。名刺交換、説明、案内。手が空くのは、来場者の波が引いた数分だけです。その数分で「何を書こう」から始めると、間に合いません。
- 写真を撮る役が決まっていない。全員が接客していると、誰もカメラを構えません。あとで見返すと、いちばんにぎわっていた時間の写真が1枚もない、ということが起きます。
- 撮っていいかの判断が、その場に降ってくる。来場者の顔、他社のブース、まだ発表していない製品、配布資料の中身。迷った瞬間に手が止まり、そのまま投稿しない選択になります。
つまり、当日に足りないのは気力ではなく判断の余白です。だから、判断は前日に済ませておきます。
段取りを、前日・当日・事後の3つに分ける

① 前日まで:投稿の「型」を3つ作っておく
当日に文章を考えない、が最大のコツです。写真を差し込めば完成する下書きを、前日までに3つ用意します。
型1:これから始まります(当日の朝に出す)
本日から〇〇展に出展しています。ブースは〇〇ホール/小間番号〇〇です。
〇〇(展示するもの)を実際に手に取ってご覧いただけます。お近くにお越しの際はお気軽にお立ち寄りください。
【写真:設営が終わったブース全景】
型2:ブースの様子(昼すぎに出す)
ブースでは〇〇のご相談をたくさんいただいています。とくに「〇〇(よく聞かれた質問)」というお声が多く、担当が実物を前にご説明しています。
本日は〇時まで。明日も〇時から開いています。
【写真:説明中の様子・展示物の寄り】
型3:本日終了・明日もあります(夕方に出す)
本日はブースにお立ち寄りいただきありがとうございました。
明日も〇時から〇時まで、〇〇ホール〇〇でお待ちしています。
【写真:その日いちばん良かった1枚】
会期が1日だけなら、型3を「ありがとうございました」に変えるだけで足ります。文章はこの程度で十分です。凝った実況より、場所と時間が正確に書いてあることのほうが、見た人の役に立ちます。
投稿文の組み立てそのものを整えたいときは反応が伸びる投稿文の書き方|型・言い回し・例文テンプレ集も参考にしてみてください。
前日に、あわせて確認しておきたいこと
- 主催者のルールを見る。会場内の撮影・SNS投稿の可否、使ってよいハッシュタグ、他社ブースの撮影可否は、出展者マニュアルに書かれていることが多いです。会期直前に更新されることもあるので、最新版を開いて確認しておくと安心です。
- 自社の「まだ出せないもの」を1行にする。開発中の製品、未発表の価格、取引先名。「これは写さない」を先に決めておくと、当日その場で悩まずに済みます。
- 写る人の同意をとっておく。ブースに立つ社員には、前日に「投稿に写真を使うかもしれません」と一言。声をかけておくだけで、当日の遠慮がなくなります(社員が写る投稿の同意の取り方|退職後の扱いまで決めておく)。
- 通信と電池の準備。会場のWi‑Fiは混みます。動画のアップロードが進まないことは珍しくないので、画像1枚+テキストを基本にして、動画は帰ってからにすると詰まりません。モバイルバッテリーは、あって困りません。
- 予約投稿を確認する。会期中に入っている通常の予約投稿が、実況とぶつからないか。宣伝色の強い投稿が実況の合間に挟まると、少しちぐはぐに見えます。
② 当日:新しく考えない。撮る時間だけ先に取る
当日にやることは、撮る・選ぶ・差し込むの3つだけです。
- 撮影のタイミングを先に決める。おすすめは「開場前」「昼前後」「終了直前」の3回。とくに開場前の設営完了直後は、人が写り込まず、ブースがいちばんきれいな状態です。ここで全景を1枚押さえておくと、当日ずっと使えます。
- 撮る人を1人決める。SNS担当が接客に入るなら、若手や当日の応援メンバーに「10時と14時に3枚ずつ撮って、このチャットに送って」と頼むほうが確実です。頼み方の型は企業SNSのネタを他部署から集める|依頼テンプレと巻き込み方がそのまま使えます。
- 投稿は1日2〜3本で十分。多く出すことより、朝と夕方に1本ずつ確実に出すほうが、ブースへの導線としては効きます。
- 来場者が写るときは、後ろ姿か手元にする。顔がはっきり写る写真をどうしても使いたいときは、その場で本人に確認します。「SNSに載せてもいいですか」と聞いて断られたら、それで終わりです。気まずくなりません。
- 他社ブースと配布資料は写さないのが無難です。背景に少し入るくらいでも、主催者のルールで禁じられている場合があります。
投稿の直前に見る確認は、いつもと同じで大丈夫です。企業SNS投稿前チェックリスト|炎上・誤情報・権利を投稿前に確認を1回通しておくと、慌ただしい会場でも抜けが減ります。写り込みが気になるときはSNS投稿の写り込みチェック|個人情報を守る投稿前の確認ポイントもどうぞ。
もうひとつ。その場でリアルタイムに出せなくても、失敗ではありません。昼の混雑が落ち着いた15時に朝の写真を出しても、誰も困りません。「実況」という言葉に、時間の正確さまで求めなくて大丈夫です。
③ 事後:3日以内に、まとめを1本
意外に思われるかもしれませんが、いちばん読まれるのは終わったあとの投稿であることが多いです。会期中は来場者もSNSを見ていません。落ち着いてから見返す人のほうが多いのです。
事後投稿に入れたいのは、この3つです。
- お礼——立ち寄ってくれた人、ブースを手伝った社内の人へ。
- その場で多かった質問と、その答え——「〇〇はできますか」と何度も聞かれた内容は、そのまま良いコンテンツです。
- 次につながる一言——資料請求先、次回の出展予定、問い合わせ窓口。
写真は、会期中に撮ったものの中から3〜5枚。撮った写真の整理は、記憶が新しいうちが最短です(SNS運用の素材管理|画像を探す時間をなくす保管と命名のルール)。
具体例:2日間の展示会での、実際の動き方
型と時間割を、2日間の会期に当てはめるとこうなります。あくまで一例なので、自社の会期に合わせて削ってください。
前日(社内で30分) 下書きを3つ作る。撮ってはいけないものを1行にする。撮影担当を決めて、チャットで共有する。
1日目 9:00(開場前) 設営完了のブース全景を撮る。人が入る前が勝負です。
1日目 10:00 型1を投稿。ホール名と小間番号を、必ず入れる。
1日目 14:30 撮影担当から届いた写真を見て、1枚選んで型2を投稿。よく聞かれた質問を1つ入れると、内容が具体的になります。
1日目 17:30 型3を投稿。「明日も〇時から」を忘れずに。
2日目 10:00 「本日が最終日です」の一言を足して、型1を再利用。同じ文でも問題ありません。
2日目 17:30 「ありがとうございました」で締める。
3日目〜5日目のどこかで(社内で30分) 写真を選び、まとめ投稿を1本。ここまでで、この展示会のSNSは完了です。
合計すると、当日の作業は1日あたり15分ほどです。この量なら、ブース対応の合間でも現実的に回せます。
影響——実況は、そのあと3か月分の「ネタの貯金」になる
展示会の投稿を段取りよく回せると、効果は当日だけで終わりません。
まず、写真が大量に手元に残ります。ブースの様子、展示物の寄り、接客中の社員の姿。日常業務ではなかなか撮れない写真が、1回の展示会で数十枚たまります。これは、その後しばらくの投稿素材になります。
次に、現場の言葉が拾えます。来場者が実際に口にした質問は、検索されている言葉とかなり近いことが多いです。「〇〇はできますか」と3回聞かれたなら、それは投稿1本にする価値があります(企業SNSの投稿ネタ一覧|尽きたときの「ネタの引き出し」30パターン)。
そして、社内でSNSの役割が伝わりやすくなります。展示会は社内の関心が集まる場です。そこで発信が形になっていると、普段は見えにくいSNSの仕事に説明がつきます。数字の報告より、この1回のほうが伝わることもあります。
明日やること(15分)
出展がまだ先でも、今日できることがあります。
- 出展者マニュアルの「撮影・SNS」の項目を開く。まずは、会場で何が許されているかを1回読む。それだけで当日の迷いが減ります。
- 投稿の型を1つだけ書く。3つそろえなくて大丈夫です。「本日から出展しています」の1本があるだけで、当日の朝がまったく違います。
- 撮影担当を1人お願いする。「10時と14時に3枚だけ、このチャットに送ってほしい」と伝えるだけ。断られにくい頼み方です。
展示会・イベント実況チェックリスト
会期の前に、ざっと目を通してみてください。全部そろっていなくても大丈夫です。
- 主催者のルール(撮影可否・指定ハッシュタグ)を確認した
- 「写さないもの」を1行で決めてある(未発表製品・取引先名・他社ブース)
- 投稿の下書きを、少なくとも1つ作ってある
- ホール名・小間番号・開場時間を、下書きに入れてある
- 撮影担当と、写真を送る先(チャット等)を決めてある
- ブースに立つ社員に、投稿に使う可能性を伝えてある
- 開場前の全景写真を撮る時間を確保してある
- 会期中の通常の予約投稿と、内容がぶつからないか見た
- モバイルバッテリーを用意した(動画は帰社後に回す前提にした)
- 事後のまとめ投稿を書く時間を、カレンダーに入れてある
全部は無理でも、1本は残る
展示会の日は、朝から晩まで人と話しています。声はかれるし、足も痛い。その合間にSNSまで完璧に回すのは、正直かなり大変です。
だから、目標は「全部を実況すること」ではなくていいと思います。来ていることが分かる1本と、終わったあとの1本。この2本があれば、その展示会のSNSは成立しています。
もし今回、朝の1本しか出せなかったとしても、それは失敗ではありません。撮れた写真は残っています。会場で聞いた質問も、頭のどこかに残っています。それを来週の投稿に使えば、展示会は続いていきます。

準備は前日に、当日は差し込むだけ、まとめは落ち着いてから。 この形にしておけば、次の出展はもっと軽くなります。
そもそも「展示会でも発信しよう」と考えた時点で、あなたの会社のSNSは、ちゃんと現場とつながっています。
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本記事は一般的な実務情報です。展示会・イベント会場での撮影やSNS投稿の可否は、主催者や会場ごとにルールが異なります。最終的な判断は主催者の出展者マニュアル等の最新の案内、各SNSの公式情報、および自社の広報・法務方針でご確認ください。